京都の歴史と文化 映像ライブラリー

まつりと行事・習俗

京都の火祭 ─岩倉・嵯峨─

 京都市登録無形民俗文化財「岩倉火祭」「嵯峨お松明」の記録映画(原版は16mmフィルム)。京都市左京区岩倉の石座(いわくら)神社で毎年10月23日に近い土曜日に行われる例祭と、京都市右京区嵯峨の清凉寺境内で毎年3月15日に行われる柱松(はしらまつ)行事である。
 石座神社には、旧岩倉6か町(上蔵町、下在地町、忠在地町、中在地町、西河原町、村松町)で構成される宮座とよばれる祭祀組織があり、大松明2基の製作は中在地町と忠在地町の2町があたる。当日は、日付が変わるころ、各町のトウヤに集まり、それぞれ小松明、剣鉾、御供などを持って石座神社の仮屋に参集する。深夜2時頃に神事が始まり、3時頃、仮屋(かりや)前に置かれた大松明が点火される。その後、明け方に御旅所である山住(やまずみ)神社に神輿が渡御(とぎょ)し、いったん解散する。還幸祭は午後に行われる。
 嵯峨清凉寺(釈迦堂)では、釈迦が入滅した旧暦2月15日(今は3月15日)に涅槃会が催され、高さ約7mの松明(たいまつ)3基が燃やされる。これは釈迦の荼毘(だび)を再現するものと説明されている。3基の松明は早稲、中稲、晩稲を表し、その火勢の強弱によりその年の豊凶を占うともいう。また、本堂前に並ぶ13基の高張提灯(たかはりちょうちん)は、住職が引くクジにより米相場を占うもので、12か月と閏月(うるうづき)の13か月の相場の高低を、提灯を掲げる位置の高さで示す。
 本作品では、前半で岩倉火祭、後半で嵯峨お松明が紹介されている。
■製作年月:平成2年(1990)9月
■製作:京都市文化観光局(企画)
■制作:KBS京都、アート・プラザ
■30分59秒
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