京都の歴史と文化 映像ライブラリー

民俗芸能・伝統芸能

京都の盆踊り ─題目踊・念仏踊・八朔踊─

 京都市登録無形民俗文化財「松ケ崎題目踊・さし踊」「上高野の念仏供養踊」「大原八朔踊」の記録映画(原版は16mmフィルム)。京都市左京区松ケ崎の涌泉寺で毎年8月15日・16日に、京都市左京区上高野の宝幢寺境内で毎年8月19日に、京都市左京区大原野村町の江文(えぶみ)神社境内で毎年9月1日に近い土曜日に行われる盆の踊りである。
 涌泉寺で行なわれる盆踊り。正徳元年(1711)の『山州名跡志』には、鎌倉時代に日像(1269-1342)の教化により、松ケ崎の人々が天台宗のから日蓮宗に改宗し妙泉寺が開かれたとする。題目踊は、涌泉寺の前身である妙泉寺の住職実眼が歓喜のあまり踊躍して、「南無妙法蓮華経」と題目唱和したのが始まりと伝える。男女が団扇や扇子を手に輪になって、太鼓のリズムに合わせ、右回りや左回りに踊るもので、「法法」「蓮華経」「七遍返し」「難陀」といった演目がある。中世芸能の面影を伝えるとされる題目踊に続いて、近世に流行した盆踊りである「さし踊」が踊られる。
 上高野では、かつてサトンド(崇道神社御旅所)などで盆踊りが踊られていたが、そのうち念仏踊は江州音頭の流行で大正時代の終わりに途絶えた。その後、地元の郷土史懇話会が古老への聞き取りを重ね、昭和60年(1985)に復活した。まず、宝幢寺の住職が回向を行い、口上役の合図で踊りが始まる。太鼓 1 人、鉦 4 人の囃子は男性が勤める。踊り手は女性が中心で、浴衣に三幅前垂、赤い襷、白足袋、赤緒草履で手に団扇を持ち、念仏を唱えつつゆったりと踊る。
 大原八朔踊は、大原8か町の産土神である江文神社で行われる八朔の踊り。宮座に加入したばかりの15~17歳の青年らが、絣の着物に菅笠姿で踊る。高張提灯を先導に江文神社へ向かう途中、石段下では伊勢音頭がうたわれ、江文神社に至るとションガイナが歌われる。その後、四方に斎竹を立て注連縄を張った屋台に、2か町1組で音頭取りが上り、道念踊りが踊られる。道念音頭は楽器を使用せず、「紅葉名所」「愛宕八景」「都名所」など曲がうたわれ、途中から女性も踊りに加わる。
 本作品では、「松ケ崎題目踊・さし踊」「上高野の念仏供養踊」「大原八朔踊」の順に紹介している。
■製作年月:平成6年(1994)1月
■製作:京都市文化観光局(企画)
■制作:KBS京都、アート・プラザ
■15分49秒
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