京都の歴史と文化 映像ライブラリー

民俗芸能・伝統芸能

京都の盆踊り ─鉄扇─

 京都市登録無形民俗文化財「鉄仙流白川踊」「市原ハモハ踊・鉄扇」「一乗寺鉄扇」の記録映画(原版は16mmフィルム)。京都市左京区北白川の北白川小学校の校庭で8月15日に、京都市左京区静市市原で8月16日に、京都市左京区一乗寺の八大神社で8月31日に行われる盆の踊りである。
 鉄仙流白川踊は、かつては8月16日に北白川天神宮、8月23日の地蔵盆には薬師堂で行なわれていた。鉄仙流とは、貞享年間(1684~1688)に木遣の音頭取と言われる道念山三郎が歌い流行した「道念」の流れを引き、寛政年間(1789~1801)頃を最盛期とした盆踊りである。紋付の羽織を着た音頭取りの歌にあわせて、浴衣を着た老若男女が輪になって踊るもので、楽器類は使用しない。
 市原ハモハ踊・鉄扇は、明治の初めまでは、初盆を迎えた家が中心になって、集落北側の向山で「い」の字の送り火が点火され、その後にハモハ踊が行なわれていた。現在は、お寺で尼講中による数珠繰りがあり、その後、20 時頃から広場で行われる。「ハモハ」とは「南無阿弥陀仏」が転訛したもので、締太鼓と鉦のゆったりとしたリズムに合わせて歌い踊る念仏踊である。ハモハ踊の後、近世に流行した鉄扇が踊られる。鉄扇は口説き調の音頭で楽器は用いない。鉄扇の後は、江州音頭が踊られる。
 一乗寺鉄扇は、「八朔踊」や「豊年踊」の名で踊られる盆踊り。中央に櫓を組み、音頭取りが2組に分かれ、各々の音頭に合わせて、男女が輪踊りする。楽器は用いず、「~~え」と、「え」を句尾とした口説き調の音頭である。以前は青年団が主催し、8月15日、16日、23日、27日にも他村からの踊り手も交え、一晩中踊る活況であったという。さらに、『日次紀事』に記される「一乗寺の念仏踊」も、地元では「ハミダ踊り」の名で大正期までは伝承されていた。
 本作品では、「鉄仙流白川踊」「市原ハモハ踊・鉄扇」「一乗寺鉄扇」の順に紹介している。
■製作年月:平成4年(1992)2月
■製作:京都市文化観光局(企画)
■制作:KBS京都、アート・プラザ
■17分39秒
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