あ

四阿・東屋(あずまや)
 庭園内に休憩や眺望などのために設けられ,園亭・亭などとも呼ばれ建物としての意匠が重んじられる。


生垣(いけがき)
 植物を列植した垣の総称。


池庭(いけにわ)
 池を主体とした日本庭園の主流をなす様式。


石組(いしぐみ)
 石を組み,配するもので庭づくりの骨組として,その形態や意匠については,古来様々な形式がある。


石燈籠(いしどうろう)
 石造の燈籠。燈籠は,仏の供養のため堂前に立てられたもの。


石橋(いしばし)
 自然石や切石,石材で造った橋の総称。庭橋として実用と景を兼ねて用いられる。


泉(いずみ)
「出水」の意で,地中からわき出る水。


大刈込(おおかりこみ)
 多数の樹木を密植して,その樹冠を全体として大きく刈り込んだもの。


小川治兵衛(おがわじへえ)
 1860~1933。明治から昭和初期にかけて京都の造園界を代表する作庭家。


織部燈籠(おりべとうろう)
 桃山時代末期に創案され,露地や回遊式庭園に用いられる庭燈籠。竿を直接地中に埋め込む生け込み燈籠。

 か


回遊式庭園(かいゆうしきていえん)

 園内を巡りながら鑑賞する近世初期に成立した庭園様式で,池泉回遊式ともいう。

鏡石(かがみいし)
 枯滝の石組に水が落下する趣を象徴するため立てる石。


垣(かつらがき)
 竹の穂垣と笹垣で,桂離宮の外まわりに用いられていることから呼ばれ,広く一般にも模倣され普及した。


亀島(かめじま)
 古来より亀が蓬莱を背負うという思想から蓬莱山を亀の形であらわしたもので,亀の形を象徴した島をいう。庭石であらわす場合には,亀石という。


伽藍石(がらんせき)

  寺院建築の際に柱を立てるため廃寺・廃社の建物の礎石を転用して庭園に用いたもの。多くは,飛石の踏分石として用いられた。


枯山水(かれさんすい)
 『作庭記』に初見があり,「池もなく遣水もなき所に石をたつる事。これを枯山水となづく」と記される。池や流れを作らず石組を主体にして自然景観を象徴的に表現したもの。


枯滝(かれたき)
 枯山水庭園で鏡石を水に見立てて滝を表現する手法。


枯流れ(かれながれ)
枯山水庭園で石組,護岸などを施し,白砂敷で流水を表現する手法。


曲水の庭(きょくすいのにわ)
 曲水の宴を行うために人工的に曲流を設けた庭。


沓脱石(くつぬぎいし)
 玄関や縁側の上がり口に履物を脱ぐために据えられた天端の平たい石。


小堀遠州(こぼりえんしゅう)
 天正7年(1579)~正保4年(1647)。江戸時代初期の武将・茶人。作事奉行として仙洞御所,伏見城本丸,二条城などの建築,造園の造作にあたる。

 さ


作庭記(さくていき)
 今日に伝わる最古の作庭秘伝書。平安時代中期に編纂されたとされ,編纂者は定かでなく橘 俊綱とする説が有力といわれる。


砂紋(さもん)
 枯山水庭園の敷砂の表面に用具で付ける模様で,敷砂が一般に海などの水面を表現していることから模様も渦巻・うねりなど描かれ,水紋に由来する。


沢飛石(さわとびいし)
 流れや池を渡るために打たれた飛石。


三尊石(さんぞんせき)
 仏教の三尊仏(釈迦如来と文殊・普賢菩薩,阿弥陀如来と観音・勢至菩薩,薬師如来と日光・月光菩薩など)になぞられて組まれた3個の立石。


敷石(しきいし)
 園路などに敷きつめた石。切石・割石・自然石などの石材が用いられる。


敷松葉(しきまつば)
 冬季に霜柱や凍結によって地面や苔が荒れるのを防ぐため枯松葉を敷くことで,また冬の庭に景趣を添える役割が大きい。


七五三石組(しちごさんいしぐみ)
 15個の石を7・5・3の3群の石組として配置し,全体を一つの構成として見せるもので,
七五三は陽数として古来めでたい数とされた。


借景(しゃっけい)
 庭園の外にある景色を庭の重要な構成要素として取り込むこと。庭の遠景,背景を添景的に扱われることが多い。借景庭園として用いられる。


縮景(しゅくけい)
 庭園の題材・主題となる風景を縮小して再現することで,特定の名勝地を模写縮小した象徴的な庭園を縮景庭園という。


守護石(しゅごせき)
 庭を守護し,諸景の源として添えられる立石。近世の庭園では,重要な役石とされた。


書院造庭園(しょいんづくりていえん)
 中世末頃から近世初期に完成し発展した書院造に伴う庭園様式で,書院の着座位置から庭景を鑑賞することを意識し築造されたもの。


浄土式庭園(じょうどしきていえん)
 仏教の浄土思想にもとづいて,寺院の主要建築である金堂や阿弥陀堂の前面に池を開いてハスを植え,花園を設けるなどして,浄土の荘厳を意図した庭園をいう。


寝殿造庭園(しんでんづくりていえん)
 平安時代の貴族などの寝殿造住宅に付属する庭園様式で,寝殿前面(広庭・南庭)の広場とそれに続く池庭よりなる。南庭は,白砂敷で諸行事や儀式の場とされ,その南の池には1~3個の中島を築く。


透かし垣(すかしがき)
 竹垣の一種で,割竹,細板を少しずつ隙間をあけて打ち並べ,垣を通して向こう側が見通せるもので,庭の添景の役割も果たす。四つ目垣・光悦寺垣など。


洲浜(すはま)
 洲は,土砂が堆積して水面に出たところをいう。庭園にこの趣きを写して池や流れの岸にゆるい傾斜で玉石や五郎太石を敷き並べた護岸手法をいう。


石庭(せきてい)
 立石・石組を主体に構成された枯山水庭園。龍安寺方丈庭園がよく知られている。


関守石(せきもりいし)
 茶庭の露地の飛石の分かれ道などで,飛石や延段の上にそれより先へは行かないようにとの印として置かれる石。棕櫚縄などで十文字に結び,上に引き手を付けたもの。「留石」ともいわれる。


善阿弥(ぜんあみ)
 室町時代の足利義政が重用した作庭家。作庭に非凡な才能をもち,泉石の妙手といわれ天下第一と称された。室町殿や相国寺蔭凉軒などの作庭に従事した。


山水(せんずい・さんすい)
 
山と水を備えた自然の景色をいい,平安時代からの古い用語で,室町時代によく用いられた。


 た


滝石組(たきいしぐみ)

 庭滝を構成する石組で,様々な工夫が凝らされた。水を落とす水落石を立て,その形や面に応じて釣り合いよく両側に脇石を添え,水分石・水受石などによってまとめられる。


滝口(たきぐち)
 滝水の落ち口。滝口に用いる水落石の据え方や形状によって水流が様々に変化する。


立石(たていし)
 平安時代の作庭の用語で,庭に石を配し,石を据えることでそれが庭作りの骨子とされた。


池泉(ちせん)
 庭園の池をいい,池を中心とした回遊式庭園を池泉回遊式庭園と呼ぶ。


茶庭(ちゃにわ)

  茶室に付属する庭。露地と同じ意味に用いられ書院の庭を含め広い意味での茶事に用いられる庭をいう。


築山(つきやま)
 庭園に土で築いた人工の山をいう。池と組み合わされて庭園の重要な構成要素。


蹲踞(つくばい)
 低く据えられた手水鉢で,茶の湯の発展とともに前石のほかに手燭石(夜間の明かりに燈火を置くための石)と湯桶石(夜間に湯桶を置く石)の役石で構成され,茶会の手水施設として作法が生じるようになった。


坪庭(つぼにわ)
 寝殿造住宅において,建物の間にできた空間を「つぼ」と呼んだ。後世の書院造住宅や町屋でも建物の間や塀や垣で囲まれた狭い庭をこのような伝統から坪庭と呼ぶ。


鶴亀の庭(つるかめのにわ)
 鶴島(鶴石)と亀島(亀石)の両方を配置した庭園をいう。桃山時代から江戸時代にかけて,蓬莱山や松に鶴,亀の島といった古来吉慶祝儀をあらわすようになった。


出島(でじま)
 園池に差し出た岬や半島状の小地形をいう庭園用語。


燈籠(とうろう)
 火袋のある燈火・照明の用具で,地上に据える台燈籠と建物の軒先に吊る釣灯籠がある。金属製,石製などのものがあり,庭園に用いられる燈籠はほとんどが石燈籠で,本来は社寺の献燈用に製作されたものを庭に転用された。


飛石(とびいし)
 土道を歩きやすくするためとびとびに石が打たれた歩行用の石で,伝石(つたいいし)・踏石(ふみいし)とも称される。飛石が露地に取り入れられたのは利休からとされる。


 な


庭石(にわいし)
 庭園に用いられる自然石をいう。用い方によって景石・組石・飾石・捨石などに分類される。自然石を庭石として据えるにあたっては,石の上・下・表・裏が石を生かす決め手となる。

 は


古田織部(ふるたおりべ)
 天文12年(1543)~元和元年(1615)。安土桃山時代の大名で,千利休に茶の湯を学び,その発展継承者の一人とされ,建築や作庭にも優れた。織部燈籠は,庭燈籠の代表的なものとして用いられている。


蓬莱山(ほうらいさん)
 中国の神仙思想にあらわれる仙人の住む霊山のこと。東海のかなたにあると信じられ,これを象徴した中島が蓬莱島で,後に蓬莱山を亀の形であらわすようになり亀島と同義語になった。



都林泉名所図会(みやこりんせんめいしょずえ)

 寛政11年(1799)に京都を中心とした庭園や名勝を挿絵と文で解説した刊行物。


夢窓疎石(むそうそせき)
 鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍した臨済宗の禅僧。自然の風景を愛好し,景観を生かした庭づくりに独特の境地を開いた。西芳寺・天龍寺庭園などの作庭で知られる。


盛砂(もりずな)
 立砂・立砂子(たてすなご)と称し,車寄前・輿寄前の左右に円錐形に盛り上げた砂をいう。現在でも神社の拝殿前や禅院の方丈前庭などに設けられる。貴人を迎えるとき,庭前を清めるために撒く砂と考えられる添景とされる。





役石(やくいし)
 庭の要所に据え,庭の構成,実用及び美観上から特定された場所に配する庭石。江戸時代に刊行された多くの作庭秘伝書によって名称が伝えられ,定型化したもの。


遣水(やりみず)

 庭園内の流れ・細流。幅が狭く浅いもので,自然の谷川・せせらぎを表す技法。平安時代の寝殿造庭園に始まる用語。


寄燈籠(よせどうろう)
 異なる形式の石燈籠の部分や石造品から寄せ集めて一基とした庭燈籠。





露地・路地(ろじ)
 草庵風の茶室に付属する茶庭で,待合から茶室に至るまでにしつらえられた庭。露地は,池庭・枯山水とともに日本庭園の三様式の一つとされる。路地としての通路の実用性に重きがおかれていたのが,景が入り鑑賞する要素が濃くなってくるにつれて露地の文字に変わってきたとされる。

 

出典 
『京都大辞典』㈱淡交社 1984年
『文化財用語辞典』(財)京都府文化財保護基金 1989年
『岩波 日本庭園』㈱岩波書店 小野健吉著 2004年